秘め恋*story7~試着室で…~
「何で?って顔してるな。」
「あ、え、す、すみませんっ。」
謝る私を見て、クスッと笑った専務。
あ、れ?
いや、気のせいだろう…でも…
「高田さん、分からない?」
「え、あの、」
軽くパニクる私を見て、専務はほんの少し考えるように天井を見上げると…
諦めたようにフッと笑うと、何故か私の手を取った。
あ、この感じ…
そう思った時には、その手を取ったまま近くの試着室へと連れ去られていた私。
「あ、あの…」
ーーーーーードンッ。。
か、か、か、
壁ドン…されてます、私。
恋愛なんて未経験の私が、巷でよく聞く壁ドンとやらを体験しております。
「俺だって分かった?」
「え、そんな、でも、」
まだパニクる私に、専務は前髪をグシャグシャしてポケットから眼鏡を取り出してかけて、今度はこう聞いてきた。
「これなら、分かりますか?高田さん。」
「た、滝本…さん////。」
そう。
今、目の前でちょっといぢわるな笑顔で微笑んだのは紛れもなく、あの真面目で地味な感じできっと彼女とかいないんだろうなぁなんて勝手に思っていた…あの、滝本さんだ。
「フッ、正解。」
滝本さんは前髪をかきあげ眼鏡を外すと、
壁ドンのまま、私を見つめた。
やっぱり信じられない。
だって、あの滝本さんがこんな、こんな…
「ん?まだ信じきれてない?」
くっきり二重の綺麗な目。
スッとした鼻筋。
ちょっと口角の上がった薄い唇。
そんな整った顔を見つめていると、
「高田さん。」
「は、はい…」
「ここでキス…したら怒りますか?」
「///////」
その言葉はもう昨日聞いてしまった。
誰がいったかなんてそれは…
「本当に…滝本さん?」
「そうだよ。」
え、えー!!
まるで別人の滝本さんに私はただただ驚くばかりで、変わらず壁ドン状態なことを忘れてしまっていた。
すると不意に滝本さんの顔がどんどん近づいてきて、あと数センチの距離で…
「これが俺の本当の顔。」
「せ、専務が何で配送を?」
「色々な立場から視察してたんだ。」
「そ、そうだったんですか?」
「そう。まさか、スタッフが配送に対してあんなに酷い態度だとは思わなかったな。」
「す、すみません。」
「何で謝るんだよ。高田は誰に対しても変わらない態度だろう?」
「そ、そうですけど…」
つい謝ってしまう私に、滝本さんは可笑しそうに笑った。とても至近距離で。
微かに息が頬を掠めて、ドキドキが止まらなくなる。
「高田のそういうところ、ずっと見てたよ。」
「え、そんな、恥ずかしい…です。。」