怖い短編集
その日の夜、

恵梨奈は冷たいスイカを

食べながら、

おばあちゃんに話しかけた。






「おばあちゃん、私、

海に行ってみたいの。




クラスの友だちは、

みんな行ったことがあるのよ。




行ったことがないのは、

私だけなの。




だからお願い。




おばあちゃん、私を海に

連れていって」




恵梨奈がそう言うと、

幸代は顔色を変えた。






「恵梨奈、海は駄目だよ。




あんなとこ、子供が行く

ところじゃない。




海はね、とっても危険なの。




毎年、海で溺れて死ぬ人は、

たくさんいるんだからね」






「おばあちゃんまで、

お母さんと同じようなことを

言うの?




おばあちゃんなら

連れていってくれると思って、

私、期待しておばあちゃんの

家に来たのに」






「恵梨奈、海に行かなくても、

楽しい遊びはたくさんあるよ。




おばあちゃんとカブトムシを

探しにいくかい?




中村公園の雑木林に

カブトムシがいっぱいいるんだよ」






恵梨奈はおばあちゃんの話を

がっかりしながら聞いていた。






恵梨奈が行きたかったのは、

公園の雑木林では

なかったから……。
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