笑う門には福来たる!!
「誠十郎!久しぶり!!」

「お久しぶりです!藤堂さん」

「誠十郎それ、もう終わるんだろ?」

「終わるけど?」

「左之さん家に、遊び行かねぇか?」

「行く!!」

「僕も!!」

「総司は、巡察だろ!?」

「土方さん!!代わって!!」

「馬鹿!俺は、仕事があんだよ!!」

「ええーー僕も行きたかった」

「ごめんな、総司…今度、行こ?」

「約束ですよ?」

「うん、約束」


さみしがり、しょんぼりする沖田を誠十郎がなだめた


「どっちが年上なんだか…」

「本当、総司は甘えっ子だな」



土方、藤堂にそんなこと言われていても

誠十郎にかまって貰えて喜んでいるから

気にしていない













原田家



「おまさ、懐妊してたのか!?」

「あら、誠十郎!!久しぶりやね!」


お腹の大きくなった、おまさに驚くが
幸せそうなおまさを見ると
少し、土方と自分を想像して
赤くなる

一人でぶんぶん頭を振り回す


「何やってんだ?」


原田から、ヘンな物を見る目で見られる


「うっせぇ
あっおまさ、俺がする」

「いやや!男はんにそんな!!」

「おまさ、誠十郎は料理もなかなかだ
甘えとけ」


お茶を入れに行こうとしたおまさを止め
誠十郎が行ってしまった





「あっ…誠十郎に頼もうか」

「え?」

「もう、二月すると、産み月だろ?
誠十郎は、気が利くし、強い!安心だ!」


「そうだな、いくら誠十郎が男でも
妊婦を襲うとかなさそうだし!
いいんじゃないか?」

「藤堂さん…俺がなんて?」

「おおぅ!!おどかすな!!」

「誠十郎!頼む!!
産まれるまででいいから!
ここに泊まり込んでくれ!!」

「あきまへん!!男はんにそんな頼めへん!!あなたったら!!」

「おまさ、誠十郎はそこらの男と違って
安心だぞ!?」

「藤堂さん…」


誠十郎が藤堂を一睨みして、ふぅとため息漏らす


「おまさ、ちょっとこっち来て
原田さんと藤堂さんは、ここで待ってて」


隣の部屋に、おまさを連れて

静かにと、念を押してから

胸元を開く



「ええーー!!!!」

「こら!!うるせぇ!!」

慌てて着物を整える


おまさの声に原田と藤堂が襖を開けた


「そういうことだから」

「そういうことなら…誠十郎に頼むわ」


子供の頃から知っている誠十郎が
女だと知り、戸惑うおまさ

原田と藤堂が話に夢中になっているとき


「ご両親は、ご存知なの?」

「知らないんだ…内緒な?」

「ええけど…なんや、嬉しくなってきたわ
仲良うしよな?」

「うん」


少し微笑む誠十郎


「お?笑った」

「初めて見た」

「そうだっけ?」

「お前、笑っとけ!!モテるぞ!!」

「いや…モテなくていいし」

「いんや!!笑ってなきゃ!!
良いもの見れた!!
誠十郎!!俺、良いことありそうだ!!」




自分が笑うとこんなに喜んでくれる人がいるのかと、嬉しかった

そして、女であることを打ち明けても

気持ち悪く思われず、すんなり受け入れてくれる

何より嬉しかった


いつか、家族にも打ち明けられる日が
くるのかも

少し、前向きになれた日だった








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