王子な秘書とシンデレラな御曹司
事務服からスーツへ防具は完了


「竹下さん、ちょっといいかな?」

猫なで声で部長に呼ばれ
私は身体が強張った。

オフィス街に自社ビルを構え
日本人の肌に合った化粧品を製造。
ヒットを飛ばし東証第一部に上昇。
海外進出も好調。

【株式会社 デリアナ化粧品】

総務課 業務係勤務
竹下 雅(たけした みやび)26歳

総務部は広いフロアを経理部とシェア。
イタリア製応接セットで仕切られた、お洒落で明るいフロアになっていた。

なんだろう
なにをやらかした私?

本気で脳内回転させ考える。

最近の大きな行事予定といえば
半年後に行う
創立80周年&社長の誕生パーティーの件?
いや担当は私じゃない。

高橋部長は穏やかな顔を見せ
ひらひらと大きな手で私を手招きする。

嫌な予感。嫌な予感。
きっと隣の会議室に呼び出し?

大体あそこに呼ばれてのツーショットは、無理難題が待っている。

開いていたパソコンを閉じ
逮捕された犯人気分で部長の後ろに続いて歩く私。
仕事が増えて残業が続くかも。

まぁ
彼氏もいない独り身だからいいか……って認める自分が悲しい。



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