王子な秘書とシンデレラな御曹司
仕事が終わり。
『お疲れさまでした』と彼は微笑む。
帰り支度をしながら私はモジモジとしていた。
仕事モードが終わると乙女に変わる。
男前の私がこんなキャラとは自分でも信じられない。
「あの……副社長、昨夜は……」
勇気を出して言葉を出すと
「雅さん」と、彼は両手を頭の上に組んで天井を見つめる。
「うちの蛍光灯新しくなりましたね。明るくなった」
「そう……ですか。気付かなかった」
一緒になって天井を見つめると
「お仕事お疲れさまでした。クリスマスですね。残業なしで帰って下さい」
突き放すように言われてしまった。
「副社長、あの……」
「クリスマスが終わると年末ですよね。早いですね。雅さんは年末の予定は?」
年末の予定。
もしかして
どこかに誘ってくれるとか?
「私は香川に帰ります。副社長は?」
ドキドキしながら聞くと
「僕は研究所か、いや、きっと海外ですね。華子様も海外に行くのであちらで合流しようかと思います」
え?華子様?
合流?
不思議そうに見ていると
啓司さんは天井を見つめながら私に言う。