王子な秘書とシンデレラな御曹司

ベテラン秘書は隙もなく
秘書オーラが溢れていた。

社長秘書ともなれば、こんな感じなのか。
市橋理香なんぞ可愛いもんだなぁって
変な感想を持ちながらチョコを置いて部屋を出ると

クロワッサン髪の本人とバッタリ廊下で遭遇。
今日はバレンタインだから?
可愛い形のこげ茶色のスーツがよくお似合いで。

考えてると会うなんて
考えなきゃよかった

今日はどんな嫌味が飛んでくるのかと構えてしまう。

「新年会では目立ってくれたわね」
刺のある声。
ちくしょー。もう一ヶ月も前の話じゃんかよ。

さりげなく通り過ぎようとしていたら

「カッコよかったわよ。おたくの副社長」

おたくの副社長をオタクの副社長と脳内変換してしまった私。
机の上にスターウォーズの卓上カレンダーを置いて満足している彼は、すっかり私の中はオタク定着。

「秘書課でも女子社員でも評判になってた。自分の立場を考えず部下を守る姿勢はステキだって。まっすぐ舞台の上から部下を助けに来て抱き上げたのは憧れるって」

えっ?
え?えっ?え?
市橋理香がうちの副社長をほめてる?

「ご自分の健康管理が悪くてボスに迷惑かけたのは最低だけど」

フンと小さな鼻で笑い
市橋理香はクロワッサンな髪をパサリと手で払い、目の前から去って行く。

ほめられた。

ありがとう。
初めてほめてもらったかも。

うれしい。ありがとう。

早く副社長に伝えなきゃ。

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