王子な秘書とシンデレラな御曹司
「仕事が山積みです。いいかげんにして下さい」
怒りのまま副社長に電話をして怒鳴りまくると『すぐ戻ります』って小さく返事。
『嫌い』と言われて家に帰る
子供よりひどいわ。
やっぱり全然成長してないし
ガッカリ気分で自分の机に戻って肩を落とし引き出しを開くと
可愛い三食団子が消しゴムとクリップの間でお出迎え。
重要機密。
内容を知りたい。
これしか手元にないのなら、せめてコピーを作りたい。
副社長のピンチを救いたい。
彼らの悪事を暴きたい。
ピンクのお団子を抜き取って、そのシルバーの細い四角をパソコンに繋ぎたいけれど
『僕との約束として絶対開かないでもらえますか?』
副社長の声がリフレイン。
真剣なまなざしだった。
約束は守らなきゃ。
ピンクのお団子を元に戻して
また机の中でおやすみなさい。
引き出しを閉めると
そーっと
ドアが開き
おずおずと長身の男性がこっちを遠慮しながら覗き出す。
「雅さん……怒ってる?」
「怒ってませんよ」
「僕の事嫌いですか?」
「好きでも嫌いでもありません」
仕事が忙しい振りをしてパソコンのキーボードを叩きながら言うと返事がない。
ドアに寄りかかりながら倒れている。
しまった。
ベストアンサーじゃなかったか。
もう一声だな。
「嫌いじゃありませんよ。早く仕事しましょう」
さりげなくそう言うと「はい」って元気な返事が返り
水を得た魚状態で急に元気になって仕事に戻る副社長。
とっても
面倒な男である。