王子な秘書とシンデレラな御曹司
「やってくれたな」
田崎専務は憎々しい声を出し、泣きそうな顔でうちの副社長にそう言った。
「最初に仕掛けたのはそっちでしょう。僕は見習っただけですよ」
「くっそ……油断したこっちのミスだ。敏明君行こう。こんなとこでグチグチやってる時間はない。早く手を打たなければクビになるか地方に飛ばされる」
その意味がわからないのは
きっとこの部屋では私と俺様副社長。
「課長クラス以上に我々の企みがメールされた。海外との合併話がこれで全部つぶれた。私達はもう終わりだ。社長にもメールされてるだろう。早く行くぞ。対策を練ろう」
苛立つ専務の声にうながされ
俺様副社長は近くにあったゴミ箱を蹴り散らし、荒々しく部屋から出て行ってしまった。
これって?
どうなってるの?
「あの……」
「驚いたでしょう。大丈夫でした?」
副社長は「あーあ。散らかしちゃって」って、蹴られたゴミ箱を直してゴミを拾う。
「説明してもらえますか?」
わからない事実がありすぎて
頭が回らない。
「そうですね……ちょっと長いですよ」
ニッコリ笑顔が
ちょっぴり怖かった。