王子な秘書とシンデレラな御曹司


ホワイトデーと共に
桜の季節がやってくる。

今年は三月の気温が高くて
ポカポカ幸せ春日和。

でも仕事は山積み。
三月四月は忙しい。

特に日程が決まった【創立80周年&社長のお誕生日おめでとうパーティー】という(正式名称は違うけど)一大事業が四月に控えているので総務は忙しい。

そして
春は別れの季節でもある。

移動の季節。

「もう行っちゃうの?」
総務にやってきた健王子を捕まえる私。

「来週からパリ」
眉間にシワ寄せ
不機嫌そうに私に言うので、笑ってやると頭を叩かれた。

「笑うな!」

「ごめん」

私はこみあげる笑いをなんとか堪えながら、部屋の隅に健を誘導する。

「俺がどんだけショックだったかわかる?自腹でイタリア語を勉強していい感じになったのに、いきなり副社長が『高岡さん。ヨーロッパはフランス一本にします。イタリアの支店は閉めます。パリに行って下さい』だとさ」

「笑うしかないわ」

「今までの努力はどうしてくれよう」

「どんまい」

「軽すぎる」
肩をドンと小突かれても笑いが止まらない。

うちの商品は国内より海外の方が売れている。
だから田崎専務が海外に手を広げるだけ広げ、国内をないがしろにして支社を沢山作ったけれど、副社長の考えは違っていた。

日本で勝負したい。

基本に戻って
日本での商品コストを上げたいので、海外支社は大切だけれど最低限に抑えたいって言ってた。

少しずつ
彼は会社を変えようとしている。
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