王子な秘書とシンデレラな御曹司



 次の朝

軽く二日酔いの頭を栄養ドリンクで清め

手書きの副社長室へとノックする。

今日の予定の下調べは完璧。

気合を入れて頑張ろう。

「おはようございます」と、扉を開くと

副社長の机には

知らない男性が座っていた。

「あ、すいません」
慌てて扉を閉めたけど
この
みすぼらしい部屋は
うちの副社長に与えられた部屋。
誰も好きで中には入らないだろう。

誰だろう
社内の人かな
若かったからどこかの課長さん?

再び扉を開くと

「竹下さん。おはよう」と、その男性は私に言う。

え?えええっ?

副社長?

二度見しながら私は目を丸くした。

「これが精一杯です」
副社長は真面目に私にそう言った。

目の前にいるのは
素人の私にもわかる上質なブランド製のスーツを着こなし

髪は全体的に爽やかで
眉毛上の前髪は柔らかく自然に流れ
耳周りと後ろは短い
ショートレイアースタイル。

メガネは黒縁から細くスタイリッシュなメタルになり
澄んだ優しい瞳がくっきり見える。
長いまつ毛まで見えそう。

スッとした鼻筋
口角の上がった薄めの唇。


まぎれもなく



彼はイケメンだった。





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