王子な秘書とシンデレラな御曹司
「どうしたんですか?」
「竹下さんが言ったでしょう。外見をなんとかしなさいって」
書類から目を離さずに副社長は言う。
部屋の中も変わってる。
安っぽいテーブルとパイプ椅子が撤収され
その代わりに大きなソファとハンガーラックが置かれていた。
「今日の下調べは完璧ですね。素晴らしいです」
顔を上げてニッコリ笑い
優しい笑顔にドキリとする私
ドキリって……どうした私。
昨日のお酒がまだ残ってるのかな。
「短い髪も、細いフレームのメガネもよく似合ってます」
「ありがとうございます。コンタクトに挑戦しようとしましたが、怖くて無理でした」
「怖くないですよ。楽ですよ」
「目に異物を入れるなんて無理です!」
怯えながらも言い切ったなへタレ。
でも外見は100点に近い
よしよし。これで好感度UP。
「竹下さん」
「はい」
「色々あるけど、頑張りましょうね」
自分に言い聞かせるように副社長はそう言った。
昨日の家族会議で何かあったのかな。
「はい。頑張りましょう!」
自分らしく突き進め
雅王子は姫を守ろう
そして一人前の後継者にしてみせる。