王子な秘書とシンデレラな御曹司


ほぼ飲み過ぎの土曜の朝

職場の机に手帳を忘れたと……むくんだ顔で私は気付く。

特に重要な手帳じゃなくて
月曜日でもいいのだけれど
去年亡くなっていた祖母の写真を挟んでいたので、なんとなく手元に無いと落ち着かない。

落ち着かないまま週末を過ごすのも、私の性格上くつろげない。

だから適当なメイクをし
電車に揺られて胃液が上がりそうになりながら会社に到着。

どうせ誰もいないだろう。

さっさと目的の物を持って帰ろう
濃いコーヒーが飲みたい。
あぁ副社長のコーヒーの味を覚えると、どこに行っても味が落ちてしまう。
餌付けされたな私。

エレベーターから降り
副社長室に行くと
扉の前でVシネマに出て来るようなお兄さんたち2人とすれ違う。

え?デカいしゴツいし怖い顔。
どちらさん?どうしてここから出て来るの?
ジロリとにらまれ
怖くて壁に貼りついてると

「来週には返事しま……雅さんっ!」

副社長の穏やかな笑顔が驚きに変わる。

「どうしたんですか?今日は休みですよ」

「どうしたって、副社長こそどうしました?まさかお部屋に居るなんて」

髪はぼさぼさ
黒縁メガネ
ジーンズに白い綿のシャツ
その上にグレーのカシミヤのセーター
スーツじゃないカジュアル姿があどけなく
どこかの大学生のようだった。








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