王子な秘書とシンデレラな御曹司
深く深く落ちていると
再び着信音が静かな階段に響く
『雅?俺』
懐かしい声が遠く聞こえる。
『さっき繋がらなかった。今大丈夫か?そっちどう?こっち寒い』
ヨーロッパってどっち側だろう。
なぜかキョロキョロと涙目で周りを見渡してしまう。
時差ってどのくらいかな
日本時間に合わせて夜中に電話を入れてるのだろう
健は優しい
優しすぎて苦しくなる私。
『一週間で帰る。おみやげ買って帰るから。帰ったら会おう』
「健」
『雅に会いたい。お前が休み取ってこっち来いよ』
「……バカ」
『元気ないな大丈夫か?』
「昨日の夜に総務の女子会があって飲み過ぎた」
そう
飲み過ぎただけ。
『強烈な飲み会』
楽しそうな声で笑う健。
『帰ったらお前の返事を聞くから逃げんなよ』
プロポーズの返事
自分の気持ちがわかった今
全てが他人事に感じてしまう。
当たり障りのない会話をし
健との会話を終わらせる。
これから
どうしよう。
いや
どうしようじゃなくて
自分ですべき事を考えよう。
頭を冷やして考えよう。