王子な秘書とシンデレラな御曹司

私は目線を下に動かし
もぞもぞと包装紙を指でなぞる。

「食事の前にお前の話を聞く?食べてからにする?寝た後にする?」

寝た後か……。

「食べる前に話す。きっと支払いはワリカンになるよ」

「嫌な話?」

「正直な話」

それしか言えないけど
正直に私は話をしよう

ゆっくりと自分の言葉で
上手く伝える事ができないかもしれないけれど

正直に話をして
自分の気持ちに整理をしよう。

「私は副社長に惹かれてる」
彼の目を見てはっきり言うと、健は寂しく微笑んだ。

「でも私の使命は、副社長のお見合いを成功させる事。そして無事に後継者の席に座らせる事。それが私の願い」

「お見合いの成功は結婚だけど」

「知ってる。いや……違うの。私は副社長に惹かれてるけど、そんな関係ではないの。副社長は私の事をただの秘書だと思ってるし、特別な感情はないと思う」

だって
いつも私は彼を怒ってるもの。

「自分の気持ちを伝えようとも思わないし。第一に身分違い。そしてどうしても私は副社長に後継者になってもらいたい。その為に総務から来たの」

「それでいいのか?」

「自分で決めた。俺様副社長に後継者の席を渡してはいけない」

うちの会社が乗っ取られる。

「今度のお見合いが成功したら、うちの副社長は勝つ。そして私は総務に戻る」

戻っておしまい。

ミッションクリア。
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