王子な秘書とシンデレラな御曹司
見守るだけしかできない従者


お見合いお茶会から早くも三日過ぎた。

もはや幻
そして封印
そんなお茶会だった。

『雅さん。僕は無理です』
顔面蒼白で言い切る副社長に

『了解です』
素直に返事した私。

それほどの衝撃的な出来事で
馬の鳴き声がしばらく頭の中で響いてた。

死神常務と高橋部長からは責められたけど、あれは無理。
あのお嬢様はうちの副社長は無理。
馬にケリ入れられて終わってしまう。

お見合いはあきらめて
俺様副社長に勝つ方法を考えねば。

仕事をしながら作戦を考えるけど、何も浮かんでこないわ。
万事休す的にボーっとしてると
背中でレンジがチンと鳴る。
ヒヒンじゃなくてよかった……って、まだ癒えぬのか馬事件。

「雅さん。今日は酸味控え目のマンデリンにしたので、カフェオレがおススメです」
レンジでミルクをチンして
美味しいカフェオレを入れる副社長。

「どうしました?」
私のうらめしそうな顔に怯えて聞く。

「どうもしませんけど……このままじゃヤバいなぁって……お見合いもダメだったし」

「なるようになりますよ」

楽天的なヤツ。
こーゆーとこがいいとこのお坊ちゃまなんだよな
もっと危機感をもってほしい
今回の事でどれだけ私が、常務と部長に文句言われたかわかってるのか。

「副社長。あのですね……」
一発説教でもしてやろうと思っていたら

扉からノックの音がした。

ん?誰?
副社長と顔を見合わせていると
「失礼します」って可愛らしい声が聞こえてから、可愛らしい女の子が顔を見せた。
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