王子な秘書とシンデレラな御曹司

それはまるで
外の寒さを忘れるくらい
柔らかな春風がやってきたかのような
可愛らしい女子の登場。
今日もふわふわ茶色いボブ
淡いピンクのワンピースの上にベージュのボアのコート。
アイドル顔負けの女の子は白い頬をピンク色に染めて、私達の前に現れた。

お茶会で震えていた女の子。

「お礼が遅くなって申し訳ありません。私は佐野清香(さの きよか)と申します。先日はご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」

可愛らしい声を出し
そっと私に近寄り小さな箱を渡してくれた。
マカロンで有名な高級菓子店の箱だ。

「いえそんな。お怪我とかありませんでしたか?」
私は立ち上がり、彼女にソファを勧めるけど清香さんは恥ずかしそうに笑って首を横に振る。

カワイイなぁ。目の保養だわ。

「本当にありがとうございました。私の主人もお礼を言いたいとやってきました。華子様、おふたりいらっしゃいました」
清香さんは嬉しそうに扉の外に声をかける。

華子様?
私と副社長の顔から血の気が引く。

すると

「礼が遅くなったな」

やはり彼女はひとりじゃなかった。
麻生華子お嬢様も登場。

今日のお嬢様は長い髪をなびかせて
黒のライダージャケットにレザーパンツ。
そして10センチヒール。

カラコン無しで全てが黒。
その迫力がハンパない。

眼力……怖っ!

オーラが怖っ!

しっかり固まる私と副社長。




< 91 / 245 >

この作品をシェア

pagetop