落ちてきた天使
咲ちゃんは目立つ。
彼女と擦れ違う時、男子が頬を赤らめてる姿を何度も見た。


でも、モテることを鼻にかけない。
女子からの反感も最初はあったみたいだけど、いつだって凛としてる咲ちゃんの姿に、陰口を叩いてた人も次第にいなくなった。



強くて、優しくて、いつも笑顔の咲ちゃん。


……だから、気付けなかった。


気付いた時にはもう遅くて。




『皆に悲しい報せがあります。昨夜、岡山咲さんが亡くなりました』




先生の声も、周りの声も。
音という音全てが、遠のいていった……



「私がもっと早く……咲ちゃんの変化に気付いてれば」

「……気付くって何を?何度も言うけど、その子が亡くなったのだってお前のせいじゃーーー」

「虐められてたのっ‼︎」

「ーーーえ…?」



咲ちゃんは自殺だった。


咲ちゃんの陰口を表立って言う人はいなくなったけど、一部の数名の女子は、咲ちゃんのカリスマ性に嫉妬していたんだ。



咲ちゃんの部室のロッカーを整理していたら、ボロボロになった筆箱や生徒手帳、そして、残酷な言葉がたくさん殴り書きされたノートが隠すように入っていて。


私はその時、咲ちゃんが虐められてたことに気付いた。


毎日一緒にいたのに、どうして気付けなかったのって…自分の鈍感さを恨んだ。



「お葬式の翌日、家に行ったの……習字道具とか…ロッカーにあったものを持って。そしたら……」



言葉が詰まる。
咲ちゃんのお母さんの嗚咽交じりの声……言葉が、耳に残って離れない。



『あなた…親友だったのよね……?ならどうして気付いてくれなかったの……』

『こら!よさないか。矢嶋さんのせいじゃないだろう!』

『けどっ…けど……どうして咲なのよおぉぉっ‼︎‼︎あなたが気付いてくれさえすれば咲は…咲は死なずに済んだのにっ!!』



咲ちゃんのお母さんは私の肩を思いっきり揺さぶり、泣き崩れた。




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