落ちてきた天使
『さて開店の時間だ!ラーメン食べて行きな。うちで働くならうちの味を知っといてもらわな』
『親父!餃子も付けて!』
『調子に乗るな、洋平!食べたいなら開店準備手伝え』
二人のやりとりを見てると、自然とクスクス笑みが溢れる。
ああ…駄目だな。
この町に戻ってきてから、私の涙腺は完全に壊れちゃったみたいだ。
嬉し過ぎた……
あんな風に言ってもらえるなんて思ってもいなかった。
不幸な星の元に生まれた私が、こんなに幸せを感じてもいいのかな…なんて思ってしまう。
『彩ちゃん。悪いけど、暖簾出してくれる?』
女将さんが私に暖簾を差し出す。
【天下一】と書かれた暖簾。
私はそれをしっかりと受け取って、『はいっ‼︎』と感謝の想いを込めて答えたーーーー。
「あー‼︎ホント美味しかった‼︎」
ラーメンを食べ終えた私達は、少し混んできた店を手伝ってから帰路に着いた。
時刻は夜の8時前。
空はいつの間にか濃紺色になっていた。
「良い人達だろ?」
「うん、とっても」
「俺、親父に拾ってもらったんだ」
洋平は空を仰ぐと、懐かしむように目を細めた。
「拾ってもらった?」
「高校生になってすぐバイト探したけど、親がいないってだけでなかなか見つからなくてさ。いくつ面接受けたかわからない」
やっぱり、そういうことがあるんだ。
私はたまたま洋平が紹介してくれて、すんなり働き先が見つかったけど。もし、自分で探してたら洋平みたいになかなか見つからなかったかもしれない。
「施設長は無理に働かなくてもいいって言うけど、高校卒業したら出てかなきゃならない。だから、その時の為に少しでも資金貯めておきたかったんだ。でも、いくら面接しても受からない。保護者がいないから何かあった時困るって、いつもそんな理由だった。最後の方はもう自暴自棄になってグレそうになった時、店の前通ってさ。旨そうなラーメンの匂いにつられて、金持ってねぇのに店入って。なかなかの強面の親父が出て来た時、咄嗟に働かせて下さいって頭下げてた」
「それで?どうなったの?」
「彩と同じ。名前と歳とやる気あるか聞かれて即採用。バイトの募集なんてしてなかったのにだぜ?」
『親父!餃子も付けて!』
『調子に乗るな、洋平!食べたいなら開店準備手伝え』
二人のやりとりを見てると、自然とクスクス笑みが溢れる。
ああ…駄目だな。
この町に戻ってきてから、私の涙腺は完全に壊れちゃったみたいだ。
嬉し過ぎた……
あんな風に言ってもらえるなんて思ってもいなかった。
不幸な星の元に生まれた私が、こんなに幸せを感じてもいいのかな…なんて思ってしまう。
『彩ちゃん。悪いけど、暖簾出してくれる?』
女将さんが私に暖簾を差し出す。
【天下一】と書かれた暖簾。
私はそれをしっかりと受け取って、『はいっ‼︎』と感謝の想いを込めて答えたーーーー。
「あー‼︎ホント美味しかった‼︎」
ラーメンを食べ終えた私達は、少し混んできた店を手伝ってから帰路に着いた。
時刻は夜の8時前。
空はいつの間にか濃紺色になっていた。
「良い人達だろ?」
「うん、とっても」
「俺、親父に拾ってもらったんだ」
洋平は空を仰ぐと、懐かしむように目を細めた。
「拾ってもらった?」
「高校生になってすぐバイト探したけど、親がいないってだけでなかなか見つからなくてさ。いくつ面接受けたかわからない」
やっぱり、そういうことがあるんだ。
私はたまたま洋平が紹介してくれて、すんなり働き先が見つかったけど。もし、自分で探してたら洋平みたいになかなか見つからなかったかもしれない。
「施設長は無理に働かなくてもいいって言うけど、高校卒業したら出てかなきゃならない。だから、その時の為に少しでも資金貯めておきたかったんだ。でも、いくら面接しても受からない。保護者がいないから何かあった時困るって、いつもそんな理由だった。最後の方はもう自暴自棄になってグレそうになった時、店の前通ってさ。旨そうなラーメンの匂いにつられて、金持ってねぇのに店入って。なかなかの強面の親父が出て来た時、咄嗟に働かせて下さいって頭下げてた」
「それで?どうなったの?」
「彩と同じ。名前と歳とやる気あるか聞かれて即採用。バイトの募集なんてしてなかったのにだぜ?」