落ちてきた天使
トクン、と高鳴る心臓。


不覚にも、今の洋平の発言にドキドキしてしまった。


だって、あの可愛かった洋平だよ⁉︎


メソメソ泣いてた洋平が、「女一人で帰らせるわけにはいかない」だなんて。


すっごく凄く男らしい発言に驚いた。


そう!これはビックリしただけだ!
胸キュンのドキドキじゃない!



私よりも断然広い背中を見つめながら、自分に言い聞かすように頭の中で何度も繰り返していると。



「彩‼︎」



切羽詰まったような聞き慣れた声がして振り返った。


数十メートル先で息を切らした皐月の姿が目に留まって思わず声を上げる。



「皐月⁉︎」
「皐月兄ちゃん⁉︎」



洋平と言葉が重なり、またもや二人同時に「「え⁉︎」」と困惑した声で言って見合う。



「皐月兄ちゃんって…?」

「彩こそ…兄ちゃんのこと知ってんの?」

「知ってるも何も……」



皐月と一緒に暮らしてます、だなんて言ってもいいのかな……


施設長に許可を貰ってるとはいえ、男女の赤の他人。


一つ屋根の下で暮らしてることを大っぴらに公言するのは良いことではないような気がするんだけど。



何て説明しようか頭を悩ませていると、いつの間にか近くまで来ていた皐月が言った。



「お前、なんで電話出ねぇんだよ…っ」

「…ごめん。その……気付かなくて」



額に汗を滲ませて息を切らし険しい表情を浮かべた皐月に、怖ず怖ずと答える。



やっぱり怒ってる…


いつも皐月が帰って来るときには家にいる私が、夜8時過ぎまで連絡無しに帰って来ないのは絶対心配するに決まってる。


一緒に暮らしてる以上、遅くなるならなるで一報を入れるのは最低限のルールだ。




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