だって、キミが好きだから。


なんだよ……それ。


わけわかんねーよ。



「ど、どこに……どこに引っ越したんすか?」



「んー、確か……旦那さんの転勤が決まって、北海道に行くとか言ってたね」



ばあさんはそう言うと、蛇口をひねってホースで庭の水撒きを始める。



ほ、北海道……?


うそ、だろ……?


なんでだよ?


なんで、俺に何も言わずに……。


冗談じゃねーよ。



ーーピンポーン


ーーピンポンピンポンピンポンピンポーン



いくらインターホンを押しても、当たり前だけど誰も出てはくれなかった。


力が抜けて、ズルズルとその場に崩れ落ちる。


なぁ……うそだろ?



誰かうそだと言ってくれ。



もう……会えねーのかよ?


なぁ。


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