だって、キミが好きだから。


「戻ろっか。明日は手術なんだし、今日はしっかり休まなくちゃ」



「は、はい」



看護師さんがニッコリ笑ってくれて、後を追うようにして歩いた。


病棟の中の電気は消えていて、今は常夜灯しかついていないから薄暗い。



「ここが菜花ちゃんの部屋だよ」



「ありがとうございます」



ペコッと頭を下げて部屋に入る。


やっぱり中も薄暗かった。


今は……どうやら夜中の1時過ぎ。


あたし、何をしようとしてたんだろう?


ちょっと前のことなのに、すでにもうわからない。


そっとベッドに入って目を閉じる。



明日……手術か。


怖くないといったらうそになる。


怖い……怖いよ。


ものすごく怖い。


あたし……どうなっちゃうんだろう。


わからないから余計に怖い。



でも、もう泣かない。


泣いちゃダメな気がする。


遠い昔に、心にそう誓った気がするから。



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