偽悪役者
明くる日の午前10時15分。


都内にあるホテルの一室では、慌ただしくも着々と準備が進められていた。




――詠継祇ヶ丘中学校様
       同窓会会場――




「こちら柊。食事及び配置、問題ありません。」


「こちら橘。キッチンとバックヤードも大丈夫です。」



「こちら来栖。配膳完了しました。」



「こちら椎名。ロビー及び非常口付近、異常なしです。」


「こちら篠宮。受付準備調いました。」



実働部隊のインカムからは、次々と報告が流れる。



「よし、こっちのモニターにも問題は見られない。」



ホテルの地下駐車場には、通信機器を搭載したワゴン車が止まっていた。



その中では、轢夲と羮芻が捜査用に設置した監視カメラからの映像と無線の管理。


要は、ホテルの構内地図とモニターとを見比べながら全体を把握する。



監視カメラは、会場・ロビー・エントランス・バックヤード・非常口・地下駐車場と抜かりなく設置した。


人の目と合わさることで、より強固なものとなる。



「もうすぐ開場時刻だ。全員、よろしく頼むぞ。」


「「了解!」」



同窓会が幕を開ける。
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