好きだと言ってほしいから
今日はこのまま逢坂さんのマンションへ行くため、私はいつも乗るバスとは反対車線のバスを待った。彼のマンションはここからバスで十分だ。
バスを待っている間に葵ちゃんからLINEが来た。確認すると、今朝、葵ちゃんが話していた飲み会の時間変更の件だった。さっと目を通してから【了解でーす】とスタンプで返した。
逢坂さんのマンションに行く前にスーパーで買い物を済ませた私は、預かっていた鍵を使って彼のマンションに入る。
彼の部屋は八階だ。もう何度となく訪れていて勝手知ったる場所だけど、私はやっぱり遠慮がちになってしまう。「おじゃまします……」と誰に言うでもなく呟いて靴を脱いだ。
脱いだ靴を揃えて端に寄せるとまっすぐ続く廊下を奥まで進む。2LDKのこのマンションは街中から少し離れているからか、新築でわりと広めなのに手頃な家賃だと聞いている。
逢坂さんは今日は少し遅くなると言っていた。だけど彼はいつも必ず、私を十時までには自宅へ送ってくれるから、どんなに遅くても九時には帰って来られるということだろう。
私は先に簡単な掃除を済ませてから、料理に取り掛かることにした。
本当はこのまま彼の部屋に泊まっていきたい。彼のぬくもりを感じて眠りたい。寝癖のついた彼におはようのキスをしたい。だけど――。
逢坂さんはそうさせてはくれない。恋人になって二年、一度だって私の帰宅が夜十時を過ぎたことはない。
時間を守り、お父さんがいるときは必ず一言挨拶をしてから帰る逢坂さんは、お父さんからの信頼も厚い。だから、たまに彼と外泊することに問題なんてどこにもない。逢坂さんさえ一言「泊まっていけば」と言ってくれれば、私はいつだってそうする。それなのに、どうして彼はそう言ってくれないの……?
時計を見た。八時半だ。逢坂さんはまだ帰らない。
出来上がった料理にラップをしてから私は玄関に向かった。彼は九時前には帰ってくる。
バスを待っている間に葵ちゃんからLINEが来た。確認すると、今朝、葵ちゃんが話していた飲み会の時間変更の件だった。さっと目を通してから【了解でーす】とスタンプで返した。
逢坂さんのマンションに行く前にスーパーで買い物を済ませた私は、預かっていた鍵を使って彼のマンションに入る。
彼の部屋は八階だ。もう何度となく訪れていて勝手知ったる場所だけど、私はやっぱり遠慮がちになってしまう。「おじゃまします……」と誰に言うでもなく呟いて靴を脱いだ。
脱いだ靴を揃えて端に寄せるとまっすぐ続く廊下を奥まで進む。2LDKのこのマンションは街中から少し離れているからか、新築でわりと広めなのに手頃な家賃だと聞いている。
逢坂さんは今日は少し遅くなると言っていた。だけど彼はいつも必ず、私を十時までには自宅へ送ってくれるから、どんなに遅くても九時には帰って来られるということだろう。
私は先に簡単な掃除を済ませてから、料理に取り掛かることにした。
本当はこのまま彼の部屋に泊まっていきたい。彼のぬくもりを感じて眠りたい。寝癖のついた彼におはようのキスをしたい。だけど――。
逢坂さんはそうさせてはくれない。恋人になって二年、一度だって私の帰宅が夜十時を過ぎたことはない。
時間を守り、お父さんがいるときは必ず一言挨拶をしてから帰る逢坂さんは、お父さんからの信頼も厚い。だから、たまに彼と外泊することに問題なんてどこにもない。逢坂さんさえ一言「泊まっていけば」と言ってくれれば、私はいつだってそうする。それなのに、どうして彼はそう言ってくれないの……?
時計を見た。八時半だ。逢坂さんはまだ帰らない。
出来上がった料理にラップをしてから私は玄関に向かった。彼は九時前には帰ってくる。