好きだと言ってほしいから
 五島さんが祈るように両手を合わせて顔の前で握り締める。すると他のみんなも面白がってか口々に言い出した。

「俺もちょっと興味あるな。逢坂先輩って入試は満点って噂だったし、卒業式も答辞読んでただろ。首席卒業なんじゃねーの? そんな人の仕事ぶりとか聞いてみてー」

「仕事の話は答えられないこともあるでしょ」

「分かってるよ。そんな突っ込んだ話じゃねーよ」

 私のことはそっちのけで、みんなの中では既に逢坂さんを呼ぶって話になっている。だけどそんなの無理。私の仲間の飲み会に、逢坂さんを呼びつけるだなんて……。

「麻衣、ちょっと電話してみてよ」

 葵ちゃんまでノリ気らしい。

「え、誰に……」

「もう、逢坂先輩に決まってるじゃない。先輩、今日は何してんの?」

「えっと、多分ジムに行ってると思うから無理なんじゃないかな」

 ハハ、と愛想笑いを返す。これで諦めてくれればいいんだけれど。だけどそんなうまくはいかなかった。葵ちゃんが私のバッグを勝手に漁り、ハイ、とスマホを寄越した。

「とりあえず聞いてみてよ」

「無理だって……」

「いいからいいから。ダメだったらしょうがないけど、もしかしたら来てくれるかもしれないじゃん。先輩の家、ここから近いんでしょ?」
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