好きだと言ってほしいから
「やってみれば分かるよ。最初だから負荷は軽めに設定しておこう」

 逢坂さんに教えられたとおり、ハンドルを握って足を置く。ペダルを漕ぐと強制的に足が前後した。最初は固定ハンドルを握っていたけれど、慣れてきたので動く方のハンドルバーに変えてみる。すると腕や背中の筋肉も使うことが分かった。

「意外に疲れませんね」

 私の隣のマシンで一緒に運動する逢坂さんに笑いかける。彼は私よりも慣れた感じで脚と手を動かしていた。

「負荷上げてみる?」

 少し意地悪な瞳を向けられて、私はぶんぶんと首を振った。

「こ、これでいいです!」

「あはは」

 彼が笑う。白い歯を見せて無邪気に笑う彼はとても楽しそう。私も自然と笑顔になった。
 そうして二十分ほど、二人で並んで運動をしてからマシンを降りる。ジムってもっと疲れるものだと思っていた。

「それは軽めでやったからだよ。本格的にトレーニングしたいならもう少し負荷を上げてやらないと。もちろんランニングとか他にも色々ね」
 まだほとんど汗をかいていない逢坂さんを見上げながら、私は自分のタオルを軽く額に当てた。

「そ、そうですよね。私に出来るかな……」

 あまり運動が得意でない自分を思って不安になっていると「でも……」と彼が微笑む。
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