好きだと言ってほしいから
「見てたわよ~。あんたたち、相変わらず仲がいいのね」

「えっ?」

「何とぼけてんのよ、分かってるくせに。逢坂先輩よ。ドジな麻衣が転ばないで済んだのは先輩のおかげね」

「う、うん……」

 見られていたのかと思うと恥ずかしくなり、私は中へ入ると急いで自分のロッカーへと向かう。【田辺麻衣・松崎葵】と書かれた細長い扉を開けた。

 本当は一人一つのロッカーが欲しいところだけれど、何せ社員数に対してロッカーの数が圧倒的に少ない。だからほとんどの人はこうして二人で一つのロッカーをあてがわれている。私は葵ちゃんと一緒にロッカーを使っていた。

「それで今夜はお泊りってわけ?」

「へっ?」

 腰を屈めて制服のスカートを穿きながら葵ちゃんが私を上目遣いで見る。そしてすぐにニヤリと笑った。

「全部見てたんだってば。逢坂先輩から鍵、受け取ってたじゃない。仕事が終わったら彼の家に行くんでしょう?」

「あ、うん」

「でも明日も仕事よね。着替えとか持ってきてるの? あ、それとも先輩の部屋に置いてあるとか?」
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