【完】俺が絶対、好きって言わせてみせるから。

不覚にもちょっと、そんな彼が可愛く思えてしまった。


いつも私よりずっと落ち着いてて余裕かましてる彼が、なんか子供みたいに見えるんだもん。



コーヒーを一口飲んで、再び彼を見上げる。


すると、食べたばかりのブラウニーの茶色いくずが口元に付いているのに気がついた。


…あら。


本人は気づいてないみたいだけど…。



思わず手を伸ばしてみる。


間近で見る彼の顔は、やっぱりとてもキレイだった。



…ほんとはね、影山さんより黒瀧くんのがイケメンだって思ってるよ。


ただ、それをなんとなく言いたくないだけ。



「ねぇ、なんかついてるよ」



私が口元に触れたら、彼は驚いたようにこっちを見た。



「…えっ?」



そっとブラウニーのくずを取って、クスッと笑ってみせる。



「…ふふ、子供みたい」


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