Tell me !!〜課長と始める恋する時間
しかしながら、彼女は初めの頃こそ顔に不満を目一杯書き込みながらも僕の与えた仕事をこなしていたが、いつからか自主的に動くようになった。


彼女なりに僕の仕事に対する姿勢を理解しようとしてくれていたのかもしれない。


決して先頭切って引っ張っていくというタイプではないが、僕の指示に従うだけでなく自分なりに考え先回りして行動をしていた。


ーーー中々、見込みあるじゃないか。


僕はほんの少し彼女への見る目が変わった。それは仕事だけではなかった。


相変わらず彼女は僕に対してコソコソと視線を送ってくるもののそれ以上、何もアクションを起こすことはなかった。


大抵の女達のように直ぐに好きだと思いを告げるような事も何もしてこなかった。


ーーーなぜだ?同じ課内ではさすがにまずいとでも思っているのか?


もちろん、それは僕自身も同じ考えだ。これまでも社外では適当な付き合いをする事があっても社内の者からの告白は全て断っていた。


社内で色恋沙汰で面倒な事になるのはまっぴら御免だ。


しかしながら僕は、知らず知らずの内にそんな彼女へ興味を持つようになっていた。


そう興味。


決して恋愛感情ではない。


僕が本気で誰かを好きになるなんて事はこの先もないだろう。


けれど、心の何処かで本当にそれでいいのか?と別の誰かが問い掛ける。


恋を知らずして、愛情を受けずしてこれからも一人生きていくのかと僕の耳元で誰かが囁いた。










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