生徒だけど寮母やります!2
やられた方も出来る限りの対処に努めないと、と景を責めるようにルークは言うが、一方の景はなんと言っていいか困っているようだった


「うん.....多分一年生の女の子かなぁとは思ったけど.....」

「けど何」


でも、気持ちは分かるのだ

こんなにカッコよくて、楽しくて、優しい皆んなに囲まれて


そんな人たちの中で学科授業を受けずに寮母なんかやって.....

時々自分にバチが当たるんじゃないかと思うくらい皆んなが眩しくて


「すれ違った女の子達の私を見る視線が鋭いのも.....彼女たちの気持ちが分かるから.....」


「haha.....あんたも、寮母まだまだだね」


「うん.....本当そう。全然上手くできないことばっかりだよ」


ルークは景から前方に視線を逸らすと、頭一つ以上小さい景の存在を隣に感じながら

「.....じゃア今までに、誰かに魔法を掛けられるだけじゃなくて、体を引っ張られたり、何処かに連れて行かれそうになったことは?」

と尋ねた


「え.....」

「ああ.....潮見の件以外でね。例えば今みたいな下校中トカ」


景はしばらくうーん.....と考えてから

「無くはないかもなぁ」

と呟く

しかしその言葉にルークが眉をしかめると、景は両手を顔の前で振って弁解した

「でも潮見くんの時みたいに拉致されることはないよ。例えば女の子に物陰に連れて行かれて色々問い詰められたり。あぁ、あと男の子に腕引っ張られて連れてかれて、どうやったら男子寮Bに入れるか聞かれたこともあったかな」


ルークは一瞬何やら考えるような顔をするが

「他は」

と別の例を求める


ほ.....ほか.....?

「あんまり気持ちいいものじゃないから、できれば忘れようと思ってるんだけどなぁ.....」


景が出来る限り表したこれ以上傷をえぐらないでくれのサインも届かず


彼女は苦笑いすると、しぶしぶとこれまでにあった被害の様々な例を挙げ出すはめになった
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