生徒だけど寮母やります!2

助けられます!







帰路

といえばそれっぽく聞こえるかもしれないが、校舎から男子寮Bまでの道のり徒歩8分


景は春の心地よい暖かさの中、ゆっくり歩いていた


髪が風になびき

小鳥が小さくさえずる


今日のデザートは何を作ろうかな

てか、バターあったかな?


早く帰って、ミヨちゃんのとこに行かなくちゃ.....


そんな考え事にふけりながら歩いていたその時


「..........!!」

突然身体が硬直して、景は一歩も動けなくなった


えっ.....何?

身体が.....動かない.....!


誰かに何か魔法をかけられた!?


視線だけで辺りを見回すが、誰の気配もない

犯人がいるとすれば、後ろだろうか


こ.....怖い..........


その時後ろから誰かが近づいてくる気配がして、景は咄嗟に叫び声を上げそうになった


しかし

「寮母さん!」

後ろから来て、自分を抱きとめてくれたのはルークだった

「ルーク君.....!」


ルークを藁に例えるのは気がひけるが、藁にもすがる思いで景は彼の名前を呼ぶ


次の瞬間、景にかかっていた何かの魔法が解け、彼女はへたりとルークに体重を預けた


な.....なんだったんだぁ.....


背の高い彼の胸で、景をしっかりと受け止めたルークは

「大丈夫ですカ、寮母さん」

と尋ねる

「うん、びっくりしたけど大丈夫、ありがとね」


景は足に力を入れてしっかりと立つと、ふとルークを見て首をかしげた


「ルーク君、学科授業は?」

「行きません。て.....何、人の心配してるの寮母さん。それより犯人を探さないとでしょ」


腰に手を当てて呆れるルークに、景はくすりと笑う

「うん.....でも助けてもらったから大丈夫!それより早く寮に帰りたいよ、ミヨちゃんもいるし」

気丈に振る舞う景に、ルークはため息をつくと辺りを見渡した


「立ち直り早.....今の、女子生徒の仕業だよね。さっき急いで走っていく女の子の姿が見えたから。よくあるんですカ、こういう事?」

「いや.....んー.....最近はそんなになかったんだけどなぁ。まぁ、たまにね、寮母とかやってると。生徒で寮母やってるなんて、確かにオカシイことだから」


景がそう苦笑してまた歩き始めると、ルークも彼女の横に並んで歩き出した


「怖かったら誰かに助けを求めないと。俺がいなかったら多分、あの子はあんたのとこに来て色々問い詰めたんじゃないです?多分一年生だろうけど」

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