生徒だけど寮母やります!2
「もしかして、小高君のことでも考えてるの?今日、二年生が小高君の家に行こうとしているそうじゃない」
「知ってるんですか?」
先生の言葉に驚いて尋ねる波屋有姫に
「もちろんよ」
と嬉しそうに頷いた先生は、椅子に腰掛けて話し出した
「私たち先生は、みんなのこと、とてもよく見てるのよ。魔法や妖術を使わないで、目と心であなたたちのことを理解しようとしてる先生がたくさんいるわ」
「じゃあ何で知っててそいつら(小高家突撃隊)を止めない?」
鋭い目で先生を捉え尋ねるライに、彼女は一瞬の間の後に頷いた
「そうね、さっきそれについては先生方で話し合ったの。小高家に行く生徒を止めなかった理由は、今日が土曜日で、生徒がどこに行こうが自由であるのが一つ。もう一つは、彼らが友達のために団結して動いたことが、私たち先生は何より嬉しかったことよ」
7人は想像していなかった理由にしばらく言葉を失うと
「そうだよな.....それが友達だよな」
と呟いた咲夜を見た
景は、彼と目が合って一瞬たじろぐ
そして、咲夜の口から
「景は、本当は爽馬のところに行きたいんだよな?」
と、核心をつく言葉が出て、景は涙をこらえながら
力強く頷いてしまった
ずっと、
ずっと.....
爽馬に会いたくて
彼の笑顔が見たかった
「みんながどうか思ってるかは分からないし、結斗は伊吹グループがああなってしまって苦しい思いをしてると思う。
けど、私まだ爽馬のこと信じてるんだ。だって別れる時に、私たちと出会えたことが糧になるって、ずっとみんなの味方でいるって爽馬言ったから。私たちもずっと爽馬の味方だって言ったから。
あの時のこと、絶対なかった事になんかしたくない」
景は、涙は流さなかった
かわりに、弱音をこぼす
「でも、だからどうしたらいいのか分からない。爽馬がもしかしたら、いつまでもあの時の爽馬に執着し続ける私たちのことを、うざいって思ったりしないかとか.....。怖くて不安になることがたくさんある」
みんな黙って景の本音を聞いていた
その沈黙を破ったのは、先生だった
「小高君は今ここにいないんだし、彼の気持ちは一生分からないわ。じゃあ『自分が小高くんだったらどうしてほしいか』、それに頼るしかないんじゃないかしら」