生徒だけど寮母やります!2



鈴菜、有姫の手も借りて、千加と千冬はひとまず満宵を保健室へと連れて行った


彼らと有姫にとっては本日2度目となる訪問に先生は目を丸くしたが、すぐに事態を把握して満宵をベッドへと案内してくれた


茶色の長椅子に腰掛けた鈴菜は、やっと横になれて幾分落ち着いた満宵を見て安堵のため息をつく


「大変やったな。満宵くん.....ミヨちゃん?だったっけ?」


いつも景から話を聞いているのだろう、男子寮Bの2年生の満宵の呼び方で鈴菜は彼の名を呼んだ


「ありがとう.....ございます.....九雷鈴菜先輩ですね?」


ベッド上で仰向けのまま視線だけ変えて鈴菜を見た満宵は、可愛いらしい声で尋ねた


「寮で景ちゃんが.....僕の背中をさすりながらよくクラスの話をしてくれるんです.....。鈴菜先輩の話も、とても楽しそうにしてくれるんです。だから分かりました.....」


「そう.....やったんやな」


「はい.....。有姫先輩も、先生もありがとうございました.....。千加も千冬も.....ありがとね.....」


彼らは申し訳なさそうにお礼を述べる満
宵に首を振る


「私は何もしてないわ」

「僕も.....」

「ん」


先生はそんな微笑ましい光景に笑みを浮かべると、満宵の元へと近づいて、彼のおでこに手を当てた


「さっきもそうだったけど、やっぱり熱があるわけじゃないみたいね。この症状は慢性のものよね?」


「そうです.....よくあります。少し休めば良くなるはずです」


「分かったわ。申し訳ないんだけど、この後会議があるから私は行かなくちゃいけないの。あなたたちは.....しばらく満宵くんについていられる?」


「はい」

千冬の返事に笑顔で頷いた先生は分厚いファイルを手に取りながら


「ありがとうね、みんな。何かあったら第四会議室。そこにいるから呼んでもらえると助かるわ」


そう言って会議へと向かっていった
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