生徒だけど寮母やります!2


その日の夜

爽馬は父親の書斎を訪れていた


ノックをすると、中から声が聞こえてくる

「入りなさい」


ドアを開けると、久しぶりに見る父親の顔

吐き気がした

「爽馬か」

父親はちらりと見て彼の名を呼ぶと、何か書いていた手を止めて椅子ごと爽馬に向き直る

そして

「お前ももう、『こっち』に入ってもらおうと思ってたからな。呼ぶつもりだった」

そう言った


これが、一番恐れていた言葉だった


「行きません。それを言いに来ました」

「それは出来ない。小高家に生まれたものは皆、結社のために働く使命がある」

父親はそう即答して、爽馬に有無を言わせない


ここで爽馬の頭によぎるのは、景や、ライや、結斗や、市河

男子寮Bのみんなの顔だった
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