生徒だけど寮母やります!2





—3月


気付けば私立魔術妖術高等学校を去り、既に一ヶ月が経っていた


冬の寒さも徐々に過ぎ去り、春が来ようとしている



彼らと出会えた季節だ



爽馬はカーテンの隙間から差し込む日差しに目を顰めながら、なかなか出られずにいた布団から抜け出した





.。・゜・。..。・゜・。..。・.。・゜・




「はよーっす.....てか最近お前起きるのおっそいんじゃねーのー?」


食堂にて

朝から相変わらず元気に話しかけてくるアカギに、最近の生活習慣を指摘されて爽馬は顔をしかめた


「おはよううるさい」


「カルシウム摂れカルシウム。てか、知ってるよ?.....来週からハナが伊吹グループの幹部の家に行くんだとー。早くねー?」


声のトーンを抑えて大袈裟に言うアカギは、肩をすくめると


「嫌なら断れって言ったんじゃん俺ー、あいつも馬鹿だなーー」


と溜息をついた


「.....知ってるよ」


そう


ハナはとうとう来週から

伊吹グループ幹部の


結斗の実家へ行く事が決定してしまったのだ



結局自分はハナを振り向かせ、ここ(妖術結社)から連れ出すことが出来なかった


全て話して説得する事も出来た


けれど万が一、父親に対する忠誠の強いハナがその話を漏らし父親にバレたら、危ないのは景だ


そう思うと、それはどうしても出来なかった

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