生徒だけど寮母やります!2

ハナさん.....


ずっと犬姿に変化した状態で

一体何ヶ月過ごすか分からない


身体はいつまで持つだろうか


けれど

爽馬はハナが力尽きて倒れて、作戦が失敗すればいいとも思っていた


もう、それしかなかった



「お前、今日も密会(ミーティング)あんの忘れんなよ」


「忘れないよ。アカギさんこそ、伊吹グループについての資料持ってくるの忘れないでね。僕はやる事があるから部屋に戻る」


爽馬は淡々とアカギに言うと


「おばさん、部屋に持ってくからパンだけ頂戴」

とカウンター越しに、給仕の女性に声をかけた


「はいはい。じゃあクロワッサン3つお皿にのせとくでね。お昼にまたお皿返しにおいで」


「分かった」


爽馬は女性から綺麗な茶色のクロワッサンがのった皿を受け取ると、さっさと自分の部屋へと戻っていく


「.....あいつ何をあんな急いでんだろな?朝食ぐらいゆっくり食べろっていってやってよおばちゃん」


その光景を横で見ていたアカギは思わず女性にそう言いながら、人差し指をピッと爽馬の背中に向ける


女性はお盆上にスプーンとフォーク、お箸を載せる手を動かしたまま


「なんだろね.....あの子はあの兄弟の中でも可愛いくて面白い子だぁね」

と、フフと笑った


「おばちゃんまであんな狐野郎にトキメクのかよー!」

「うるさいね、あんたも狐じゃないのかね。早くパンとって食べな」


アカギは女性にお盆を突きつけられ渋々受け取ると


「あいつ大丈夫かなぁ」


と首を傾げながらクロワッサンを5個お皿にのせた

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