生徒だけど寮母やります!2

それから爽馬は、ルークが自分より1つ年下であることを知り

新入生として私立魔術妖術高等学校へ入学する彼に、景のいる男子寮Bに入寮することを頼んだ



彼ははじめ、どうすれば男子寮Bに入寮出来るのか不思議がったが、それはルークの素性を校長だけに明かしておけば恐らく可能であると伝えた



その際

申し訳なく思いつつ、ライの家のことや結斗の家の伊吹グループのこと、そして自分だけが勘付いている咲夜の病気のことなど、爽馬はルークを信頼して知っていることを全て話した



これで、景が安全に暮らせるように





藤樫ルークは静かに耳を傾けて、たまに相槌を打ちながら話を聞く



そして最後に、こう尋ねてきた



『.....笠上景は、あなたのガールフレンドか何かなんですカ』



その質問に、爽馬はスマートフォンを握りしめたまま一瞬硬直する



心臓がビクリと跳ねて、口元に手を当てた



確かに.....


こんなに必死で景を助けて欲しいと頼んでたら、そう思われても仕方ない.....



「違います.....」


電話越しのルークは、否定されて決まり悪そうにハハと笑う



『.....じゃあ片思いってやつですかネ』



冗談めかして言うルークに、爽馬は何も言えずゆっくりと視線を落とした




「片思い.....ですか.....」



淡い記憶を振り返れば、いつも学校では自分の周りの女子たちがその言葉で騒いでいた



けれど



彼女たちは何が楽しくてそんなに騒ぎたいのか、興味もないし理解もできず



それは自分とは無縁の言葉だと思っていた




自分は知らなかったのだ




「だとしたら」




今ここで、ようやく




「それは一生続く‘‘片思い’’ですね」





‘‘この気持ち’’の素晴らしさを知った



< 283 / 547 >

この作品をシェア

pagetop