生徒だけど寮母やります!2
『..........』
爽馬は少しルークが返答に戸惑っているのを感じ取り、話題を変える
「ルーク・ウォリナーさん。この電話を切ったら、僕とあなたは他人です」
『..........』
自分がMAと繋がっていることが妖術結社や月沼トレーディングにでもバレたら全てが台無しになり、事態は最悪の終わり方を迎えることになる
MAと接点を持ってはいけないのだ
そして爽馬は更に、景や男子寮Bの生徒が自分の家に来るようなことがあれば阻止したいからと、即刻自分に知らせるように付け加えた
『え.....どうして.....』
自分の家には父親の部下や味方が常に滞在している
運が悪ければ父本人に見つかってしまうかもしれない
笠上美音の身体のことなど気にもとめず過酷な任務を割り当てたように、彼は景をも自分の都合の良い駒として欲している
絶対に会わせてはいけない人物だ
その旨を伝えてから、爽馬は言った
『ただ.....あなたが一度電話をかけてきたら、僕はこのケータイを破棄します』
その言葉で、ルークは爽馬の考えを理解したようだった
短くため息を吐き出す音だけが聞こえる
笠上景と自分を繋ぐものすべてを許さない、爽馬の強い意志を感じ取ってくれたのだろう
ルークが自分の言葉に対して続けようとしないので、爽馬は付け足した
「.....景や寮の人たちは鋭い人たちです。もしかしたら、色々バレるのも時間の問題かもしれない。
そしてとても優しい彼らは、もしかしたら僕のために考えてくれるかもしれない。会いたがってくれるかもしれない。
それを、全て排除することがもう一つ、あなたに頼みたいことです」
『え.....』
ルークは何か言いたげだったが、結局「.....わかりました」と短く承諾する
詳しく教えることができず彼には申し訳ないが、飲み込んでくれたようだった
『あ、もうひとつ聞きたいことがありマス』
電話を切る前に、ハッと気づいたように言うルーク
「はい」
『どうして、MagicAssociationJapanに依頼するのではなく、アメリカなんて遠い国の本部に依頼したんですカ』