生徒だけど寮母やります!2
午後7時
文化祭も終わり、グラウンドでは生徒たちが焚き火を囲んでいる
ある人は談笑に花を咲かせたり
またある人は振舞われる豚汁を美味しそうに飲んだり
文化祭で夜遅くまでパーティが出来るのが、寮制度のあるこの学校の良いところだ
景はそんなことを考え、教室の窓からグラウンドに出ている人々を見渡した
「うちらも後で豚汁貰いに行こうな」
「行く行く!」
隣で鈴菜と柊がはしゃぎ景も頷く
市河と別れた後は、戻って来た果子や彼女たちと文化祭を回り
景としても楽しい文化祭になった
「てか景、双子ちゃんとこの鯛焼き食べた?」
「あ、うん!」
「うちらな、有姫と斎藤ちゃんも一緒に買いに行ったんやけど鯛焼きに『生徒、生徒、生徒、しかし君は生徒じゃないなっ』『学生らしい若さがない』『ないないなーいっ!』って言われて斎藤ちゃん激怒やってん」
思い出し笑いをしながら話す鈴菜に、景は「えぇ.....」と顔をひきつらせる
「それは大変だったね」
「やろ?」
面白がる鈴菜からは大変さは微塵も感じられないが、柊は深刻な面持ちで
「先生その場で自分の鯛焼き割ったんだよ〜」
と付け足した
「そうそう、そうしたらウチらの鯛がな、『なんて卑劣』」
「『血も涙もないぜ』」
「『俺らにも血と涙はない』」
「『しかし立派な餡が詰まってるぞ』『見ろ人間ども!』」
「『見られるのは割られるって事だい』」
「『バーカでぃ!』」
2人して鯛焼きのセリフを面白おかしく再現するので、景は声を出して笑う
「いやー、ちょっとその場に居合わせたかったかも」
「録音しておけばよかったね鈴菜ちゃん」
すっかり片付いた教室には笑い声が響き
涼しい風が吹き込んでいた