生徒だけど寮母やります!2




午後7時


文化祭も終わり、グラウンドでは生徒たちが焚き火を囲んでいる


ある人は談笑に花を咲かせたり


またある人は振舞われる豚汁を美味しそうに飲んだり



文化祭で夜遅くまでパーティが出来るのが、寮制度のあるこの学校の良いところだ


景はそんなことを考え、教室の窓からグラウンドに出ている人々を見渡した



「うちらも後で豚汁貰いに行こうな」

「行く行く!」


隣で鈴菜と柊がはしゃぎ景も頷く


市河と別れた後は、戻って来た果子や彼女たちと文化祭を回り



景としても楽しい文化祭になった



「てか景、双子ちゃんとこの鯛焼き食べた?」

「あ、うん!」

「うちらな、有姫と斎藤ちゃんも一緒に買いに行ったんやけど鯛焼きに『生徒、生徒、生徒、しかし君は生徒じゃないなっ』『学生らしい若さがない』『ないないなーいっ!』って言われて斎藤ちゃん激怒やってん」


思い出し笑いをしながら話す鈴菜に、景は「えぇ.....」と顔をひきつらせる


「それは大変だったね」


「やろ?」


面白がる鈴菜からは大変さは微塵も感じられないが、柊は深刻な面持ちで


「先生その場で自分の鯛焼き割ったんだよ〜」

と付け足した



「そうそう、そうしたらウチらの鯛がな、『なんて卑劣』」

「『血も涙もないぜ』」

「『俺らにも血と涙はない』」

「『しかし立派な餡が詰まってるぞ』『見ろ人間ども!』」

「『見られるのは割られるって事だい』」

「『バーカでぃ!』」


2人して鯛焼きのセリフを面白おかしく再現するので、景は声を出して笑う


「いやー、ちょっとその場に居合わせたかったかも」

「録音しておけばよかったね鈴菜ちゃん」



すっかり片付いた教室には笑い声が響き


涼しい風が吹き込んでいた

< 358 / 547 >

この作品をシェア

pagetop