生徒だけど寮母やります!2



____私から、行く?



何て酷い侮辱だ


爽馬父の言葉に腹の底から怒りがこみ上げて、景の頭の中で何かがプツンと切れた



「こんな炎、苦しいわけがあるか」


いつもよりワントーン低い、怒りを含んだ声


友達や寮の生徒に対してこんな口をきいたことなんかないし

一年前のマナにさえ、こんなにも心臓が破れそうなほどの憤りを感じたことはなかった


だから、我ながら強気に出たものだと少し驚いた


景を支えていた咲夜は、大丈夫と伝えるかのように背中に手を当ててくれる


それに応えるかのように景は震える足に鞭打って、口を開いた


「今までの爽馬を想うと、どうしようもなく辛くてやるせないから苦しいんです。それに比べたら、これぐらい何でもない」


「そうか。限界までそうやって強がっていればいい」


「.....爽馬を諦めてください。『爽馬を引き渡せ』は私の.....こっちのセリフです」


きつく睨む景の言葉に、爽馬父は少し首を傾ける


それから子供が何を言うかとでも言いたげな、バカにしたような表情でため息を漏らした


「君たちにとってあの子はただの元同級生だろう。私にとってあれは息子だ。引き渡すも何もない」


「それなら.....!!あなたは爽馬が好きな食べ物を言えますか!?ご飯では何が好きなのかを知ってますか!?」




___『......油揚げ......いなり寿司......ネズミの天ぷら......』


『おい!爽馬しっかりしろ、好物呟いたって自分苦しめるだけだ!』


『え、ネズミの天ぷら好物なの......』


『てめぇだって汚ねぇ血吸うのが好きじゃねぇか』_____




「おやつでは何が好きですか?」



___『............ところてんが食べたい』


『あはははっ、良い!ところてん私も食べたい!』


『たまに、食べたくなる』


『私三杯酢派!』


『三杯酢、いいよね』


『爽馬は、ところてんが好きなんだね』


『..........屋敷にいたころによく出されてただけ。夏、縁側でそれを食べながらししおどしの音を聴くのがすきだった』______



「お祭りでは何を食べますか!?」



____『あっ、揚げたこ焼き食べたい』


『爽馬がさっきから食ってんの揚げたこ焼きじゃん』


『えええっ、爽馬私も!』_____




「好きなスポーツも、教科も、ゲームも答えることができますか!?」

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