生徒だけど寮母やります!2
切実な問いかけにも、爽馬父は答えない
まるで「それがどうした」と無言で問われているような気持ちになり、景の左頬には冷たい涙が一筋つたった
この人のもとでずっと爽馬は生きてきたんだと思うと
寂しくて孤独であまりにもやるせなかった
「爽馬のこと何も知らないで、息子?家族?ふざけるな!!!勘違いするな、家族は手駒じゃない!!」
痛烈な叫びに圧倒されながらも、景と爽馬父のやりとりを真剣に見守る一年生の5人
特にルークにとって爽馬父は依頼主を苦しめた張本人であり、自分が日本に来た理由だ
妖術結社で何が起きているのか、今まで謎に包まれ自分を翻弄してきた諸悪の根源を見定めるかのように、静かに怒りをくゆらせ耳を傾けているようだった
荒く呼吸をする景の背中をゆっくりとさすりながら、咲夜はフッと笑う
「これでもなんとも思ってないんだったら、脳みそが蟹味噌かもしれないから病院行っといたほうがいいかな。その気がなくても、俺らが病院送りにしてあげるけどね!!」
そして彼もまた溜まりに溜まっていた感情を
宣戦布告にのせて吐き出した
「.....悠長に待つだけ時間の無駄だったということだな」
爽馬父が静かにため息を吐き出す
その様子を窺うようにじっと見ながら、咲夜はハハと控えめに笑った
「ごめん、思いっきり喧嘩売った。全面戦争かもー.....」
「いいよセンパイ、チートドラゴンがなんとかするし。ねぇ喜多?」
「ん?せやな、チートアメリカンがなんとかするやろ」
「エッ、千加も弥隼も諦めが早くナイ?そして呼び方が酷い」
そんな危機感のない会話をしているうちに、爽馬父が炎を取り囲んでいる部下たちに向かって叫ぶ
「お前たち、今すぐ笠上景の捕獲に取り掛かれ!!」
「「「はい!!!」」」
敵陣の士気を高めるようなたくましい返事を聞きながら、景は「いいいぃぃイヤイヤ全面戦争って言うか、人質として狙われてる私が一番危ないんじゃん!騎馬戦の大将騎みたいなもんじゃん.....!」と涙声でまくし立てる
慌てふためくその様子は、目をグルグルとうずまきにしたカメレオンのようだ
申し訳ないがここは自分が一番安全なポジションにつかせてもらうことにしようと、彼女はピトリとルークの腕ににしがみついた
「選ばれたのは、ルークでした」
「結局ルークじゃん、俺らが何を言おうと言わなかろうと!」
同級生からも先輩からも、やいやいと理不尽な文句を言われルーク本人はため息をつきながら苦笑
そして今にも攻撃のタイミングを伺い何か仕掛けてきそうな敵を軽くにらむと、景を右腕で抱き寄せる
屋台で買い食いした際に手に入れたであろう輪ゴムを景の手首からスッと抜き取ると、太陽の光でところどころ金色に輝く、長めできめ細かい金髪をハーフアップにまとめてから小さい声で囁いた
「よし、一緒にこっから出るよ。でも、もし危なかったら景のことはすぐ先輩や皆に託すからネ」
覚悟を決めたようなルークの緊張を孕む、しかし心強い言葉に景は恐怖が少しだけ和らぐのを感じながらぎこちなく頷く
そして大丈夫?と言いたげにこちらを見てくるルークにコクリと頷くと、エヘヘとはにかんだ
「Take care.....my dear」
ルークは意を決して言った彼女の不慣れな英語にはじめは驚いた様子だったが、すぐにやわらかい笑顔で頷き返す
そして返事をそっとささやくと、額に小さなキスを一つ落とした
「I’ll defend you with all my might. Thanks, my dear」
まるで「それがどうした」と無言で問われているような気持ちになり、景の左頬には冷たい涙が一筋つたった
この人のもとでずっと爽馬は生きてきたんだと思うと
寂しくて孤独であまりにもやるせなかった
「爽馬のこと何も知らないで、息子?家族?ふざけるな!!!勘違いするな、家族は手駒じゃない!!」
痛烈な叫びに圧倒されながらも、景と爽馬父のやりとりを真剣に見守る一年生の5人
特にルークにとって爽馬父は依頼主を苦しめた張本人であり、自分が日本に来た理由だ
妖術結社で何が起きているのか、今まで謎に包まれ自分を翻弄してきた諸悪の根源を見定めるかのように、静かに怒りをくゆらせ耳を傾けているようだった
荒く呼吸をする景の背中をゆっくりとさすりながら、咲夜はフッと笑う
「これでもなんとも思ってないんだったら、脳みそが蟹味噌かもしれないから病院行っといたほうがいいかな。その気がなくても、俺らが病院送りにしてあげるけどね!!」
そして彼もまた溜まりに溜まっていた感情を
宣戦布告にのせて吐き出した
「.....悠長に待つだけ時間の無駄だったということだな」
爽馬父が静かにため息を吐き出す
その様子を窺うようにじっと見ながら、咲夜はハハと控えめに笑った
「ごめん、思いっきり喧嘩売った。全面戦争かもー.....」
「いいよセンパイ、チートドラゴンがなんとかするし。ねぇ喜多?」
「ん?せやな、チートアメリカンがなんとかするやろ」
「エッ、千加も弥隼も諦めが早くナイ?そして呼び方が酷い」
そんな危機感のない会話をしているうちに、爽馬父が炎を取り囲んでいる部下たちに向かって叫ぶ
「お前たち、今すぐ笠上景の捕獲に取り掛かれ!!」
「「「はい!!!」」」
敵陣の士気を高めるようなたくましい返事を聞きながら、景は「いいいぃぃイヤイヤ全面戦争って言うか、人質として狙われてる私が一番危ないんじゃん!騎馬戦の大将騎みたいなもんじゃん.....!」と涙声でまくし立てる
慌てふためくその様子は、目をグルグルとうずまきにしたカメレオンのようだ
申し訳ないがここは自分が一番安全なポジションにつかせてもらうことにしようと、彼女はピトリとルークの腕ににしがみついた
「選ばれたのは、ルークでした」
「結局ルークじゃん、俺らが何を言おうと言わなかろうと!」
同級生からも先輩からも、やいやいと理不尽な文句を言われルーク本人はため息をつきながら苦笑
そして今にも攻撃のタイミングを伺い何か仕掛けてきそうな敵を軽くにらむと、景を右腕で抱き寄せる
屋台で買い食いした際に手に入れたであろう輪ゴムを景の手首からスッと抜き取ると、太陽の光でところどころ金色に輝く、長めできめ細かい金髪をハーフアップにまとめてから小さい声で囁いた
「よし、一緒にこっから出るよ。でも、もし危なかったら景のことはすぐ先輩や皆に託すからネ」
覚悟を決めたようなルークの緊張を孕む、しかし心強い言葉に景は恐怖が少しだけ和らぐのを感じながらぎこちなく頷く
そして大丈夫?と言いたげにこちらを見てくるルークにコクリと頷くと、エヘヘとはにかんだ
「Take care.....my dear」
ルークは意を決して言った彼女の不慣れな英語にはじめは驚いた様子だったが、すぐにやわらかい笑顔で頷き返す
そして返事をそっとささやくと、額に小さなキスを一つ落とした
「I’ll defend you with all my might. Thanks, my dear」