生徒だけど寮母やります!2

託されます!









その後何が起こったのかはよく分からない



けれど気がついた時にはそこは上空で


下には住宅の屋根や皆んなの頭、炎のサークルが見え、景は青と金色に光り輝く硬い何かを縋り付くかのように抱きしめていた


「ギャアアアァァアア!!」

『寮母さん落ち着いテ!』


自分はドラゴン姿のルークにつままれているのだろうか


足は宙ぶらりんで、ゴォォォと音を立てて直撃する強風が髪を激しく乱す


それに、頭上から降ってくるルークの声はいつもと何か違った


「こもっている」「エコーがかかっている」などといった表現が正しいかは分からないが、とにかくいつもと何か違うわけだ

何と言っても頭上から声がするのだから


『落ち着いタ?』

「落ち着いたわけないでキャーーー!」



ボォオオォォ!!!


普段は比較的冷静を保つのが得意な景の涙声の訴えも、自身の悲鳴と攻撃音でかき消されてしまう


地上からの攻撃をジェットコースター並みの速度でクネクネとかわし、さらに応戦しているのだから仕方ない



____うわーん酔いそうだし怖いよー!!!!



涙がちょちょぎれそうな景の脳裏には、声の様子から自分とは裏腹に落ちついた様子のルークの顔が浮かんだ



「ウウウウゥゥ.....なんかすごい勢いで空中ぐるぐる飛んでて酔いそうだし私が抱きしめてるこの綺麗な青と金色の硬いのはドラゴンの鱗ですか.....?」


『あーソウソウ。そこまで分かってるってことは冷静ダネ。景の事は前足でしっかり捕まえてるから力抜いていいよ』


混乱で饒舌になるもとりあえず自分の状況は把握しているらしい


ルークは___結構叫ぶから心配したけど状況を理解してるみたいでヨカッタ、と心の中で頷いた


当の景はドラゴンにつままれて、されるがままに炎サークル上を振り回されている自分の姿を想像する


「いや想像しちゃダメだ。見た目ガスコンロ上の火炙りだ.....」


ゴォォオアアア!


「ヒィ.....!!ぃぃぃ生きた心地がしない」


叫ぶのも疲れたのかげっそりした様子で呟く景を気にしながら、ルークは器用に地上からの攻撃を尻尾で弾いたり、炎を吐き出して応戦していた


相手がドラゴンとくれば、妖術結社側も容赦なく攻撃を仕掛けてくるつもりのようだった

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