生徒だけど寮母やります!2

「ウリャアアォア!俺はっっ、ガキたちの中にドラゴンがいるなんて聞いていないぞ幹部!」

「僕もです!」

「俺らを炙ってきたサイコ野郎、ドラゴンだったのかよ!?」


地上では妖術結社の何人かがわぁわぁと文句を言いながら、ドラゴンに向かってがむしゃらに攻撃する


咲夜と一年生はその光景に目を見張ると、景をぶら下げながら空中を逃げ回るドラゴンを見上げた


「先輩、ルークは避けきれんかった攻撃を全部、寮母さんに当たらんように自分自身の身体(尻尾)で弾き返してる。こんなにモロ食らってたんじゃダメになるんも時間の問題や」


「分かってる弥隼。それに、ルークは空中へ行けば結界を越えられるんじゃないかと思って飛んだみたいだけど、出れてないってことは、思ったより上の上まで結界は張ってあるみたいだな」


景を持っているせいで妖術結社全員の攻撃を1人で受け続けるルークを、咲夜は心配そうに見上げる


彼は先程までくねくねと動いて結界から出ようと足掻いている様子だったが、それももう諦めたのか、無駄な事はやめて攻撃を避けるのに効率がいい動きを取り始めていた



「うぅぅ、この結界は厄介なタイプだね.....」

「そうやな」


満宵が嘆く通り、『結界』といえどその種類形は結界師によって様々


先程あっけなく結界を破り結界内に入ってきたルークが、今は結界外に出られずに苦戦しているのは、妖術結社側の結界師にルークがキッチリとマークされているからだ



「空中にいれば寮母さんは安全かもしれないけど、これじゃルークが」


____だから、そうなる前に手を打たないと

とでも言いたげな千冬の言葉に対して咲夜は反応しない



「あの、聞いてますか先ぱ__ 」


彼の目線の先には、今なお炎のサークルを出し続け、懸命に攻撃する妖術結社の部下たちとドラゴンを睨むように見据えている爽馬父がいた



_____いや


正確には

咲夜が見ているのは爽馬父の後ろに従える1人の男であることに、千冬は気がついた



その人はこの中で唯一


爽馬父以外にドラゴンに立ち向かわずピクリとも動かない、妖術結社側の人間だった
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