生徒だけど寮母やります!2
千加もそれに気が付いたのだろう
2人は目を合わせてから咲夜を見る
先輩の顔から感じ取れる‘‘焦り’’は、打つ手なしの絶望ではなく、覚悟のようなものだった
「先輩.....」
だから一年生の4人は、それ以上何も言わなかった
ルークの身体が、次第にボロボロになっていくのが分かっても
そしてその30秒ほど後
「うああああっっ」
咲夜が見据えていた、爽馬父の後ろに従える男が呻き声と共に膝から崩れ落ちたのである
「「.....!!」」
目を見開いたのは、咲夜と一年生だけではない
その前に立って炎を出し続けていた爽馬父と、ルークに攻撃し続けていた妖術結社の男たちに関しても同様だった
「ウスイ.....!!何をされた!?」
「かっ、かん、ぶ.....」
「しっかりしろ!!」
爽馬父は炎を出し続けている手前、顔だけ振り返りながら倒れている男___名前はウスイというのだろうか___に声をかける
焦ったその様は、人を駒として使うことに定評のある彼にしては、どう考えても仲間1人のダメージに動揺し過ぎで
咲夜たちはすぐに何が起こったかを理解した
つまり
彼こそが結界師であり_____
「ふぅ、やっっと片付いたよ。ごめんね遅くなって」
今まで霧姿で彼の精気を吸っていたであろう結斗が、炎サークルの中に姿を現した