真夜中の恋人
意味なんて、考えなくていい。

タカヤの胸に凭れ掛かって身を委ねる。
最初から、わかっていたことだ。タカヤが望むものは、身体だけ……

だから

「キスして」

せめて、甘いキスをわたしに。



タカヤと出逢ったのは、二ヶ月ほど前の夜だった。

あの日、わたしは仕事帰りにスーツケースを引き摺って、行く当てもなく歩いていた。

同棲中だった彼氏に、アパートを追い出されて一ヶ月が過ぎていた。
倹約生活を送り、知り合いに無理を言って部屋に泊めてもらったりしていたけれど、それも限界だった。

安いホテルを探して泊まってみたものの、あっという間にお金は底をついてしまった。
悪いことは重なるもので、派遣社員の契約も更新が無いまま終了してしまったのだ。

……これから、どうしよう。

考えると、涙が零れそうになる。



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