真夜中の恋人
ミカコちゃんが連れてきてくれたのは、ちょっとお洒落なイタリアンレストラン。

ドキドキしてメニューを開くと、お値段は思っていたよりもリーズナブルで、わたしは気付かれないように、ホッと安堵の溜め息を吐いたんだけど……。
こんなにワインをがぶ飲みしていたら、お会計は幾らになるのか、少し心配になってきた。

「ね、ミカコちゃん。そろそろ帰らない?」

パスタとピザ、それから、グリーンサラダを二人でシェアして、お腹は程よく満たされていた。

ミカコちゃんは「うーん」と少し考えるように頬杖をついて、「行ってみたいバーがあるんだよね」と微笑んだ。
なんとか、帰ろうと宥めてみたものの、ミカコちゃんは言い出したらきかなくて。

「一杯だけだよ」と約束をして、そのバーに行くことになってしまった。

雑居ビルの七階にあるお洒落なバーは、カウンター越しに夜景が見える。
しっとりとした大人の雰囲気に、ちょっと気後れしてしまう。

そのまま突っ立っていると「どうぞ」とバーテンダーに促されて。ミカコちゃんと空いているカウンター席に腰掛けた。

メニューを見ても、カクテルのことなんてよくわからない。

なんとなく目に付いたロングカクテルのキューバ・リブレをオーダーすると、ミカコちゃんは慣れた様子でドライマティーニを頼んでいた。

それからと、続けてチーズの盛り合わせとミックスナッツをオーダーするミカコちゃん。

本当に一杯で帰るつもりなの?

心配になりながら、ミカコちゃんの話に耳を傾けた。

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