真夜中の恋人
どれぐらい時間が経っただろう。

ミカコちゃんがカクテルのお代わりをして、合コンで知り合ったという男性のことを面白おかしく話している。

わたしは、うんうんと頷きながら、時間ばかりを気にしていた。

ミカコちゃんのグラスが空になったら、今度こそお代わりを頼む前に、帰ろうと言わなくちゃ。
そう心に決めたときだった。

ミカコちゃんが「あっ」と声を出して携帯を見詰める。
それから、「ちょっと、ごめんね」とバーの外に出て行ってしまった。


一人取り残されて、カウンター越しに見える夜景をぼんやりと眺めていた。

今夜から、やっと心配せずに眠れる。
それが、こんなに幸せなことだとは思わなかった。

早く仕事を見つけてお金を貯めよう。
落ち着いたら、自分のやりたいことを探してみるのもいいかもしれない。

そう思っていたのに。

ミカコちゃんは、携帯を持って出て行ったきり、なかなか戻ってこない。

誰と話しているんだろう?
嫌な予感がして、段々と不安になっていった。

氷が溶けて、水っぽくなったカクテルに口をつける。


「……美味しくない」

呟いたわたしの声は、ひどく頼りないものだった。




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