真夜中の恋人
タカヤがわたしを気にするように、チラリと視線を向けた。
気にするぐらいなら、今すぐ戻ってきて欲しい。

ただ一人でタカヤを待っているのは辛かった。何か飲み物をもらおうとバーに向かって歩き出す。


「ねぇ、君」

「……」

自分に言われているなんて思いもせずに、そのまま歩いていく。


すると、

「君、」

「っ!!」

不意に手首を掴まれて、驚いて振り向くと長身の男性が立っていた。

「な、なんですかっ?」

「驚かせて、ごめん」

そう言いながら、掴んでいる手首を離して笑顔を見せるけれど、少しも悪いとは思っていないみたいだ。

次の瞬間には、意地悪な笑みを浮かべて「高谷とはどんな関係?」とわたしの顔を覗き込んできた。

< 59 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop