ラブレターを君に


理音のマンションの前に着いた。来客用の駐車場へ車を入れ、理音と二人マンションの中へ入った。理音がモニターに一言二言話しドアが開けられ、上階まで、エスカレーターで上がり、ようやく辿り着いた。ドアが開けられ、二人一緒に入って行く。



(理音)
「ただいま、お母様……心配かけて…すみませんでした。」




(美歌)
「お父様が、さっきから、御待ちだわ!……あっ、どうぞ!貴方も奥へ入ってらして。」


続いて入っていく。


広いリビングに通された。奥に腕を組んで、さも怒っているぞと言わんばかりの男が立っていた。理音が何かを言おうとした途端に……



「ピシャっ!」



理音が、その父親と思われる男に殴られた。



母親の美歌が間に入り、それ以上は、と止めに入った。



(kazu)
「いきなり殴るってのは、野蛮なんじゃないですか?ちゃんと話し聞いてやれないんですか?」



(孝志)
「君が、娘を、助けてくれたのかな?だとしたら、礼を言う!私らにも、教育上娘を叱らなくてはいけない場合がなるのでね!」



(kazu)
「しかしだからと言って、いきなり訳も聞かずに殴れば良いってもんでもないでしょう!」



(孝志)
「君は、ただ通りすがりの人だったのかな?それとも、理音の事知ってて、連れ出したのか?どちらかだとしたら、君にも、少し尋ねたい事もあるんだが!」



(理音)
「お父様、悪いのは、私ですから!この方は…何にも関係のない、見ず知らずの方なんです!ただ偶然にも、私を助けてくださった、命の恩人の方ですから、あまりな事をおっしゃらないで、お願いですから。私…」



(孝志)
「まぁ、無事ここまで理音を送り届けて来てくれた事に於いては、感謝しよう!……美歌っ、何か御礼でも、して差し上げなさい!」



(kazu)
「御礼なんて……何にも要らないですから!それより!お嬢さんの心の叫びをもっと、しっかりと聞いてあげて下さい!真剣に受け止めてあげて下さい!それだけですから。失礼します!」
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