ラブレターを君に

略奪



(孝志)
「ああっ、君っ、もう少し話しを聞かせて欲しい。此処に掛けてくれないか!まずは、冷静に話そうじゃないか?」



(kazu)
「何なりと、どうぞ!聞かれて困る事など…一つもありませんから。」



と、おもむろにソファに腰掛ける。続いて心配そうに、少し離れて理音が腰掛ける。



(孝志)
「所で、見たところ…サラリーマンには見えんのだが?一応社会人であろう?失礼かとは、思うのだが、職業は、何なのかな?」



(理音)
「お父様!いきなり…失礼よ!…カズさん、答えなくていいから!」



(kazu)
「音楽関係の仕事に携わっています。」




(美歌)
「音楽って?………もしかして…貴方は、えーっと…何処かで、んんっ……」



(孝志)
「もしかして、ああ言う…何だ!芸能界の中に居る人間って事かな?それか、歌を唄ってるとかかな?身なりも普通じゃないな!」



ああっ、スタジオからそのまま飛び出して来たのを、今思いだした。




この際本当の事を言おう。



(kazu)
「ええっ、はっきり言いますが!
私は、ミュージシャンです!仲間とバンドを組んで、自分で曲を書いて唄っています。芸名をカズと言います。」



(美歌)
「ああっ、ようやく思い出しましたわ!美容院で見た雑誌に載ってた!あらっっっー」




(孝志)
「そんな…私には、まるで分からないが…チャラチャラした、世界にいるような……浮き沈みもあるだろう?定職には、就かなくていいものなのかね?」




(理音)
「やっぱり……夢を売ってる、お仕事だったんですね?あのお部屋も、正にそうなんじゃないのかなぁって、思ってたの!」



(孝志)
「何が夢を売るだ!お前のような、子供に何が分かるのだ!」
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