ラブレターを君に

気付き

美歌の元に理音からの初めての手紙が届いた。



(とうとう、来たわね!もう帰りたくなってきたかな?と思いつつ、封を開ける。


何っ!!!!真っ白なままの便箋が二枚………


何処にも何も書いてないではないか!……


あの娘ったら……)


暫くしてから、美歌は、思い切ってカズの発売されたばかりのCDを買ってきた。



理音も、いつか一度聴いてみて!と言っていたのも思い出していた。



恐る恐る……聴いてみた。



自分の気持ちをどう表現したら良いのだろう!



今まで受けたことの無い感覚に見舞われた。



綺麗な声……引き込まれるような旋律……心の中に響き渡ってくる……


美歌は、今まで音楽を聴いて涙を流したことは無かった。



ひとりでに涙が溢れてくるではないか………



何故?……何故こんな曲が……あのカズという青年の何処にこんな……


あっという間に3枚すべてを聴いてしまった。



美歌は、暫くは、茫然とし、何も手に着かなかった。
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